小泉進次郎・前環境相が「レッドカードを出しやすい明確な基準にする」と表明して制定、施行された犬猫の繁殖業者やペットショップに対する数値規制(飼養管理基準省令)。具体的にどのような内容になっているのでしょうか。悪質業者を改善、淘汰(とうた)するのに実効性はありそうなのか。探ってみました。
悪質な業者を改善、淘汰
長野県松本市内で繁殖業を営む会社を経営していた男ら2人が4日、動物愛護法違反(虐待)の疑いで県警に逮捕された。この繁殖業者は犬約1千匹をプレハブの建物などに詰め込み、適切に飼育できない状況に陥っていた。業者による動物虐待事件としては前代未聞の規模で、衝撃が広がった。
環境省は6月、犬猫の繁殖業者やペットショップの飼育環境について具体的な数値を用いて規制する「飼養管理基準省令」を施行した。こうした悪質業者を改善、淘汰するためで、制定にあたって小泉環境相(当時)は昨年8月、「悪質な事業者を排除するために自治体がレッドカードを出しやすい明確な基準にする」と表明していた。
改善命令や業務停止命令などの「レッドカード」が出しやすくなると期待されているのが▽飼育ケージの最低面積(体積)▽従業員1人あたりの上限飼育数▽メスの交配の上限年齢の3項目だ。これらの数値が決まるまでには、動物愛護団体とペット関連業界との間に、激しい綱引きがあった。
公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」理事長で俳優の杉本彩さんは2019年11月、中央環境審議会動物愛護部会の場でペット関連の業界団体が提示したケージの最低面積案を見て、危機感を抱いた。「業界団体は、実際に犬を入れたら頭がつかえ、ほとんど身動きができないとんでもない数値を主張してきた。このままでは、現状に環境省がお墨付きを与えることになり、逆効果だ」。そう考え、動物たちのためによりよい規制となるよう、精力的にロビー活動を始めた。
一方のペット関連業界は、ペ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル